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鈍器と美食家

カテゴリー: MHF

数ある武器の中で、最も高い攻撃力を誇るハンマー。
その形状ゆえガードはできないが、フットワークの軽さがそれを補う。
さらに打撃系の武器はモンスターの頭を集中的に狙えばスタンさせる事もでき、
それにより攻撃のチャンス、仲間の生存率も大幅に上がる。
熟練者が扱えば、恐るべき効果を発揮する必殺の武器である。

…とは言うものの、俺はハンマーの扱いはあまり得意ではなかった。
だが今回はその不得手のハンマーを担いでいかなければならない。

狩場には慣れた獲物で行きたかったのだが…

「と、いうわけだ。よろしく頼むぞ」

俺の部屋に、渋く低い声が響く。

堂々とした姿勢で腕を組み、用件を言う仏頂面の男。
年の頃は5~60代だろうか。白髪まじりで見慣れない衣装を纏っている。
異国の衣装のようだが、恐らく相当な高級品だろう。

今回の依頼者は高名な美食家だった。
その世界では知らぬ者がいないほどの有名人で、俺も名前だけは知っていた。
資産家でもあり、独自のコネクションで政治家や軍人にも顔が利くという話だ。

「まぁ出来ないことはないが、なんだってそんな条件を付けるんだ?」

俺はお茶をすすりながら詳しい話を聞きだそうと試みた。
男はそんなこともわからんのか、とでも言いたそうな表情をしている。

今回の依頼は砂漠での狩りだ。
相手は魚竜ガノトトス。
なんら恐れる敵ではないが、その依頼内容が少々変わっていた。

ハンマー限定。

それが絶対条件なのである。
話を聞いたときは冗談かと思ったが、そうではなかった。
この男は本気である。なんだか目が怖い。

「剣や弓で攻撃を与えれば傷がつくからだ。だからハンマーを使えと言っているのだ」

男はぶっきらぼうに話を続ける。

「今度、我が屋敷で大長老の誕生日を祝うことになったのだ。VIPにふさわしい料理、
 至高の料理を作るためには魚竜の食材が必要なのだ。傷モノでは困る」

「大長老だと!?」

大長老という言葉を聞き、俺はつい大声を出してしまった。
だが男はピクリともせず、腕を組んだままこちらを睨む。

「なんだ?大長老がどうかしたのか?」

どうしたもこうしたも。
俺の大嫌いな大長老のために至高の料理を作る、それが気に入らないのだ。
やめた。この依頼を受けるのはやめた。冗談ではない。
大長老なんぞ毒テングダケでも喰っていればいい。

俺が依頼を断ると、男は目を見開き、雷のような声を発した。

「逃げるのか士郎!!そんなにガノトトスが怖いのか!!この軟弱者めが!!」

「なんだと!?ガノスごとき俺の敵ではない!!てか、士郎って誰!?」

「困っている民のために力を尽くす!それがハンターではないのか!!」

「ぐっ…!」

男の言うことは尤もだ。
俺は心を落ち着け、考え込んだ。

「…わかった。引き受けよう。ハンマーで狩ればいいんだな?」

「うむ。最初から素直にそう言えば良いのだ。では頼んだぞ」

そう言うと男は席を立ち、部屋を出て行った。
少々納得いかないが、俺もハンターだ。自分の都合だけで狩りはしない。
人の為に獲物を狩る。それがハンターの存在理由だ。












次の日、俺は仲間と砂漠のベースキャンプで準備を整えていた。

倉庫で埃を被っていたハンマーを磨き終え、腰にぶら下げる。
俺が所持している数少ないハンマーの1つ、バルカンバスター。通称「バルバス」だ。
以前は最強を誇っていたハンマーだが、現在はその地位を祖龍破鎚【砕】に
奪われてしまった不憫なハンマーである。
攻撃力、属性値ともにバルカンバスターを上回る性能を持っている。
だが今回は魚竜種が相手だ。コイツで十分だろう。

「少し不安だが、使ってるうちに慣れるだろう」

ハンターに必要な能力の1つに「適応力」がある。
例え不利な状況であろうと、必ず狩りを成功させなければならない。
与えられた最低限の要素を最大限に駆使し、自分が主導権を握る。
それがハンターの闘い方である。

「団長、そろそろいきますわよ?」

ハンマーでGO!

イーリスさんが上品で涼やかな声で俺を呼ぶ。

「お嬢様、またニンジンを残して…私が旦那様に叱られます」

ランチタイムだったのか、執事のEXAさんはテキパキと食器を片付けていた。

「ほほぅ…ふふ~ん…お、おおぉ…これは…いいのか…?」

派手な色合いの装備をしているみ~ちゃんは、何やらニヤニヤしながら読書をしている。
表紙には「相対性理論と宇宙」と書かれているが、恐らくフェイクだろう。
中身が気になる。

各々準備が整ったところでベースキャンプから出発する。
まずはハンマーに慣れるために、ドスガレオスに練習台になってもらう。
ドスガレオスはベースキャンプから出てすぐの砂漠地帯にいるはずだ。

ドスガレオス

案の定、すぐにドスガレオスを発見した。
砂の海を悠々と泳いでいるドスガレオスに向かって、音爆弾を投げる。
砂漠一帯に破裂音が響き渡り、ドスガレオスが驚き飛び上がった。
俺達の存在に気づき、敵意をあらわにしているが、所詮ドスガレオス。
全員恐れもせずに一気に間合いを詰めていく。

まずはイーリスさんが足元に陣取り、回転攻撃を見舞う。
彼女のハンマーは麻痺属性が付加しており、敵の自由を奪うことができるのだ。
狙い通り、すぐに痺れるドスガレオス。
体勢が固定され、頭が低い位置に下りる。
その頭を目掛け、EXAさんとみ~ちゃんが力一杯ハンマーを叩きつける。
ほとんどのモンスターは頭が弱点であり、またハンマーならスタンさせることができる。
2人の殴打をモロに喰らい、ドスガレオスは失神状態に陥る。
砂色の体をビチビチさせながら、砂埃をあげることしかできなかった。

ピヨピヨドスガレ

自由を奪われ、成す術なく絶命するドスガレオス。
哀れとも思えるほどの速さで討伐成功だ。

なるほど、ハンマーに魅入られるハンターが多いのも納得がいく。
高い攻撃力と状態異常、それにパーティーの連携が上手ければ非常に効果的だ。
本格的に訓練してみるのも悪くないかもしれない。

そんな事を考えながら、一旦ベースキャンプへと戻る。
ベースキャンプにある井戸の底は、ガノトトスが待つエリアへの近道なのだ。










お嬢様の気遣い

ベースキャンプに着くと、執事EXAさんが空を舞っていた。
そしてそのまま井戸の中へホールインワン。
イーリスさんは満足そうな表情で小さくガッツポーズをとる。

一見暴力的に見えるが、これは貴族の間で流行っているスポーツの一種だ。
ハンマーで人間を上空に飛ばし、井戸の中へ落とす。
たったそれだけの競技だが、意外と奥が深い。
飛ばす者はもちろん、飛ばされる者にも相応の実力が求められる。
芸術性に重きを置いた、紳士淑女のスポーツなのだ。

お嬢様の気遣い3

続いてみ~ちゃんが空を舞う。
ふむ。素人目で見てもなかなかの腕だ。
弧を描き、井戸へと落下するその様は見ていて飽きない。

「さぁ、次は団長の番ですわ♪」

「え!?お、俺は遠慮し…ぐっふッ!!」

お嬢様の気遣い4

体が無重力になったかと思うと、俺の体は上空へと吸い込まれた。
そして一瞬静止し、次の瞬間には重力に引き付けられる。
ハンマーにはこんな楽しみ方もあるのだな、と思いながら井戸の中へと落ちていった。










束の間の戯れを終え、ガノトトスの待つエリアへと足を運ぶ。
エリアの奥の水場に向かって走ると、俺の頭上を巨大な何かが飛び越した。

水竜ガノトトス

飛竜種・ガノトトス。
主に水中で活動しているため、水竜とも呼ばれている。
水生であるためか、その体躯はモンスターの中でもトップクラスだ。
陸上での行動は緩慢だが、恐るべき攻撃力を持つため油断はできない。

「さて、いつもは刺身にしているが、今回は叩きでいくぞ!」

ハンマーを抜き、腰を落として力を溜める。
タメ攻撃はハンマーの主な攻撃方法だ。体の底からエネルギーが沸くのを感じる。

「いきますわよ!」

お嬢様、殴る!

ドスガレオスと同じように、まずはイーリスさんが麻痺を狙う。
颯爽とガノトトスの足元に陣取り、自分を軸にハンマーを猛回転させる。
状態異常が付加されたハンマーは回転攻撃が効果を発揮する。
最初の一撃で状態異常が発生すれば、攻撃の最後までそれが続くのだ。
運良く麻痺が発生し、ガノトトスは早速痺れ始める。
身をかがめ、弱点である頭をさらけ出す。
巨大なガノトトスには足にしかダメージを与えられないため、麻痺は非常に役立つ。

シビシビガノトトス

俺とEXAさんとみ~ちゃんは、間髪入れずにガノトトスの頭にハンマーを叩きつける。
ハンマーを縦に三度振り落とす、威力絶大の攻撃だ。
あっという間にガノトトスは気絶し、巨大な体がビチビチと跳ねる。
絶好のチャンス。頭、足、背ビレに分かれ、さらにハンマーを叩きつける。

まさに、まな板の上の鯉である。
自分の土俵である水中なら勝機があるだろうに、なまじ足が生えているからこうなる。
欲をかき、陸上に獲物を求めたのが魚竜の敗因だ。

「喰らえ!黒蛇流奥義・真空破岩剣!!」

黒蛇流奥義・真空破岩剣。
本来なら大剣で使用する奥義だが、ハンマーでも使えるようだ。
ビルの7階からコンボイが落下するのに匹敵する威力を持つ、必殺奥義である。
威力は絶大だが、代償に団員のモンスターの油入手率が大幅に上がってしまう。
だが四の五の言ってはいられない。

黒蛇流奥義・真空破岩剣!

凄まじい地響きがエリア内にこだまする。
それに続くようにガノトトスも地面に崩れ落ちる。
討伐成功だ。

しかし、魚竜ってのは美味いのだろうか?
見た感じは不味そうだが、あの男が欲しがるくらいだから美味なのだろう。

「やれやれ。大長老なんぞに喰わせるのは惜しいな」

まぁ仕方ない。
俺達はハンター。人の為に獲物を狩るのが仕事だ。












大長老、緊急入院!

昨日未明、大長老が誕生パーティーで体の不調を訴え、そのまま病院に搬送された。
食中毒かと思われたが、料理に毒物が混入されていたことが判明。
幸い命に別状はなかったが、公務は暫く行えないとの事。
犯人と見られる料理人はすでに逃亡しており、ギルドナイト総出で行方を追っている。
ちなみに大長老以外の人物に異常は無く、大長老だけを狙った犯行と見ている。





俺は新聞を読みながらあっけに取られていた。
どうやらあの美食家は体制に反発する不穏分子だったようだ。
まんまと暗殺の片棒を担がされたわけだ。
だが…

「美食家GJ!」

俺は目の前を忙しそうに通り過ぎるギルドナイト達を見て、心のなかでそう叫んだ。
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みーちゃん

URL | [ 編集 ] 2008/04/22(火) 01:18:04

うおwなんか、みーちゃんがすごいキャラクターに位置づけされているw悪くないぞ~w
なんか文章だけみると団長だけ必殺技使ったりして、
カッコいいじゃないかw
現場じゃ、アイドルを撮影しているエロカメラマンにしかみえなかったのにね~(・∀・)ニヤニヤ

Daran

URL | [ 編集 ] 2008/04/22(火) 01:34:16

>み~ちゃん
ノンノン。「必殺技」ではなく「奥義」ですw
バンバン使うので気をつけてくださいねw
現場の話は内密にお願いしますよw

Eru

URL | [ 編集 ] 2008/04/22(火) 04:21:46

大長老カワイソスw
まぁ私たちのラスボスですからねw
また楽しい話期待してます^^
それではまた~♪

千里

URL | [ 編集 ] 2008/04/22(火) 16:47:08

貴族で流行ってるスポーツに大爆笑w
イーリスさんのキャラがステキです。

モンスターの油の入手率が上がる奥義があるとは・・・
団長さん・・・おそろしぃ子・・・

Daran

URL | [ 編集 ] 2008/04/22(火) 23:46:06

>Eruさん
流石に大長老だけあってしぶといですw
まぁヤツがいるから俺達がいるわけですがw
お仕事がんばって^^ノ

>千里さん
世界大会もあるスポーツなんですよw
普段のイーリスさんは露出が高くて素敵ですw^^
おっと、俺が奥義を使ったことはナイショですよ?w

kazsoul

URL | [ 編集 ] 2008/04/23(水) 03:17:10

ブフフハw今回もGJなお話をありがとうございます^^
井戸にホールインワンさせるイーリスさんのハンマー技術と
しっかりそれのSSを撮ってる団長さんには脱帽です!!

それで話は変わるのですが・・・
いつも楽しく拝見しておりますが、このたび、正式に相互リンクをおねがいしたいと思っております。すでにワタクシのブログのほうにはリンクを貼らせていただきました。コメント欄にで恐縮ですが、何卒ご検討くださいね!!

DAIAN

URL | [ 編集 ] 2008/04/23(水) 08:13:15

初書き込みです、こんにちは♪
いいですねぇ~とっても面白い読み物風で、私はファンになりそうです♪
登場人物たちがいきいきしてて、書き手のセンスが冴え渡ってます。
これからも、チョコチョコ見に来ます♪
活動頑張ってくださいね~♪

AGITO

URL | [ 編集 ] 2008/04/23(水) 10:25:36

今は便利屋に金を払って大長老は金がないのに・・・ドンマイだな・・・

見てるこっちは楽しいけど、僕はあのスポーツはやられたくないです^^
そして、執事がアサシンにしかみえませんよッ!!?
フルフルSP黒ですからね~

nanami

URL | [ 編集 ] 2008/04/24(木) 07:02:10

美食家だったのですね~大長老。
しっかし、毒を喰らっても死なないとは・・・さすが大長老(笑)
ピッチピチのガノトトスかぁ~・・・美味しいのかな?
いや、きっとハンマーだから美味しいのかも~?

み~ちゃんサンのキャラが面白くてステキでした(笑)

一体、何を見てたんでしょうネ・・・ほんとはwww

Daran

URL | [ 編集 ] 2008/04/24(木) 15:52:40

>Kazsoulさん
ありがとうございます^^
こちらもリンクさせて頂きましたっ!^^
これからも何卒よろしくです~^^

>DAIANさん
はじめまして^^団長兼妄想作家のDaranと申しますw
いやいや、そう言って頂けると励みになります^^
私もお邪魔しにいきますね~^^

>AGITOさん
そうですか?wあのスポーツ楽しいですよw
団長は大空を羽ばたく感覚が好きですw
あの浮遊感がたまりませんw

>nanamiさん
さすがに大老殿のトップ、そう簡単には死なないようですw
み~ちゃんが読んでた本ですか?
きっと大人の…(*ノノ)キャw

みどみど

URL | [ 編集 ] 2008/04/24(木) 17:19:04

ふっほ。。今回はまた大剣の奥義がハンマーで炸裂なのね!
ハンマーぶっ飛ばしが、スポーツって設定のあたりセンス感じだわん。
うまく使えればハンマーは快感になるんだよね。
みどはヘタだから全然駄目だけど、相変わらずみなさん素敵^^

EXA

URL | [ 編集 ] 2008/04/24(木) 17:54:27

まさかこの世界にも美○倶楽部があるとはww
実はパーティーには旦那様達も呼ばれていたのですよ。もちろんお嬢様はすっぽかして狩りに行ってしまわれましたがw
余談ですが、団員ではないのに狩りで油ばかり出るのですが・・・(汗

Daran

URL | [ 編集 ] 2008/04/24(木) 23:08:02

>みどみどさん
大剣使いの私ですが、たまには違う武器も使いたくなります^^
ハンマーは武器出しで人をかち上げられるので便利w
欲を言えば、もっと上空に飛ばしてみたいですw

>EXAさん
ほほう、さすが大貴族の当主ですなw
リスさんは窮屈で固い席は苦手そうですから仕方ありませんねw
それと、私の奥義は団員のみにしか影響は出ない…はずですw

Wolf

URL | [ 編集 ] 2008/04/25(金) 15:42:01

>>さて、いつもは刺身にしているが、今回は叩きでいくぞ!

誰がうまいことを言えとww

今回も楽しく読ませていただきました。私も軽弩や大剣使いなのでハンマーや狩猟笛に慣れてないせいか、限定クエストで鍛える日々です。

さて・・・次のお話は、エスピナス亜種ですかな!?

あと、大長老にもらったお金は、しっかりと愛剣、超「滅」一門の強化費用に消えました。

性能?愛でカバーさ!

Daran

URL | [ 編集 ] 2008/04/26(土) 01:37:49

>Wolfさん
>>さて、いつもは刺身にしているが、今回は叩きでいくぞ!
名台詞として後世に残れば幸いですw
ナス亜種、やってきましたが強敵ですなw良い記事書けそうw











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